変異株対応ワクチン採択‐初のSCARDA支援課題/日本医療研究開発機構

日本医療研究開発機構(AMED)は、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)が開発支援するワクチンの研究開発課題を選定した結果、塩野義製薬とVLPセラピューティクスジャパンの2課題を採択した。初のSCARDA支援課題となり、ウイルス変異の影響を受けにくいコロナユニバーサル抗原デザイン技術の確立などに取り組む。

AMEDは3月下旬から1カ月間、「重点感染症等に対する感染症ワクチンの開発」をテーマに公募を実施し、申請者へのヒアリングや評価会を通じて5件の申請から今回の2件を採択した。2件のうち、塩野義の「ユニバーサルサルベコウイルスワクチンの研究開発」(研究開発代表者=山本美奈バイオ創薬研究所長)では、ウイルス変異の影響を受けにくいコロナユニバーサル抗原デザイン技術の確立を目指す。サルベコウイルス亜属には、新型コロナウイルスやSARSコロナウイルスが属している。

同社は、昨年9月からKOTAIバイオテクノロジーズと共同でコロナユニバーサル抗原ワクチンの抗原デザイン研究に取り組んでいる。今後はKOTAI、国立感染症研究所と連携して研究を進め、ウイルス変異が起きにくい領域に対する中和抗体を選択的に誘導するコロナユニバーサル抗原ワクチンの研究開発に取り組み、高い有効性・安全性、ウイルス変異による影響を受けにくい特徴を持ったワクチンを目指す。

一方、AMEDは、2022年度創薬ベンチャーエコシステム強化事業(ベンチャーキャピタルの認定)について、申請24社からVC8社を採択したと発表した。採択されたVCは、▽レミジェス・ベンチャーズ▽ファストトラックイニシアティブ▽DCIパートナーズ▽キャタリスパシフィックLLC▽ニュートン・バイオキャピタルパートナーズ▽三菱UFJキャピタル▽京都大学イノベーションキャピタル▽東京大学協創プラットフォーム開発――の8社。

同事業では、創薬に特化した事業化サポートを行うVCを認定し、認定VCによる出資を要件として、前臨床、臨床第I相・第II相の開発段階にある創薬ベンチャーが実施する実用化開発を支援する。これら8社は、AMEDと認定契約を締結後に認定VCとして活動できる。AMEDは、国内でベンチャーの事業化を支援する拠点を持ち、経営や業務に深く関わるハンズオン支援ができる常駐スタッフを配置していることなどを要件に、3月から1カ月間かけてVCを公募していた。

2022.07.08