東京都薬剤師会は、品質劣化に疑義が生じると思われる薬剤を含む一包化剤を対象とした調査を実施する。薬局ではインタビューフォーム等の安定性評価の報告などを参考に一包化の可否判断が行われているが、1種類のみを一包化した際は評価できても、複数の薬剤を一包化する場合の可否を判断できない可能性が指摘されていたため、都薬試験所で調査を実施することとした。
対象は、品質劣化に疑義が生じると思われる薬剤を含む一包化剤で、向精神薬や毒薬、覚醒剤原料、麻薬は除く。募集期間は12日から7月末まで。検体提出票と一包化した薬剤2包、PTP包装の同一薬剤2個ずつを都薬試験所宛てに送付し、一定期間保管後、PTP包装と保管後の性状等を比較する。
保管条件については、お薬カレンダーに入れて1カ月間試験室内で保管するなどを定め、検査結果については個々の結果を薬局に送付する。
昨年度は理事の薬局の検体で予備試験を行い、その結果、薬剤の外観は変色等の劣化が認められたが、高速液体クロマトグラフィーで測定可能な成分含量については明らかな変化が認められなかった。今年度は会員薬局を対象に広げて実施する。
安部好弘常務理事は9日の定例会見で、「高齢者には一包化で薬を渡すことが増えているが、その品質については状況に応じて不安があるものも存在している。調査を通じて『この組み合わせは一緒に一包化してはいけない』とか、『長期で保管してはいけない』という結果が出れば会員に通知したい」と語った。
また、機関誌「都薬雑誌」を現行の紙媒体から電子書籍版に移行する。電子版は7月号から閲覧可能で現行の紙媒体は9月末で終了する。3カ月の移行期間中は紙媒体もこれまでと同様の対応となる。
電子版はスマートフォン等からアプリ「Poste」をインストールし、紙媒体の都薬雑誌各号(7~9月号)の宛名ラベルに記載されているIDとパスワードを入力するなどの所定の手続きを踏むことで閲覧可能となる。Posteは、日本薬剤師会が会員向けにリリースしている日薬雑誌アプリも閲覧できるため、日薬と都薬の両会員であれば一つのアプリで手軽に閲覧できる。
薬剤師会が会員向けに発行する機関誌をめぐっては、日薬が日薬雑誌を完全電子化し、4月からデジタルコンテンツを配信する「日薬雑誌アプリ」の運用を開始するなど電子化へのシフトが進む。
犬伏洋夫常務理事は9日の定例会見で「紙媒体の場合は読者数や人気の記事の把握が難しいため、電子化により読者ニーズの深掘りや今後の中身の充実化を図りたい」と話し、今後会員向けに新たなサービスを打ち出す方針を明らかにした。
2025.5.14