重点感染症リスト案了承‐新たなコロナウイルス追加/厚生科学審議会小委員会

厚生科学審議会感染症部会危機対応医薬品等(MCM)に関する小委員会の重点感染症作業班は5日、重点感染症リストの見直し案を概ね了承した。パンデミックの恐れがある感染症のグループに、重症急性呼吸器感染症を来す病原体として「新たなコロナウイルス」などを追加した。部会への報告後、従来の「暫定版」から正式なリストとなり、公表される予定。

新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国はMCMの確保・研究開発上の優先順位を設定するために重点感染症を指定した上で、各感染症に対するワクチン・治療薬の研究開発に取り組む企業を支援することとしている。
現行の重点感染症リストは、暫定版として2022年に初めて公表され、国内外の感染症発生動向等に応じて見直しを行うこととしていた。
そのため、作業班が昨年11月から3回にわたって具体的議論を行い、この日の会合で厚生労働省が見直し案として提示した。
リストでは、発生の予見可能性の難しさに応じて、感染症をグループX、A~Dの5分類に分けている。
予見不可能かつ社会的インパクトが甚大な未知の感染症が位置づけられるXは、「現時点で未知の感染症であり、該当する感染症はない」とし、現行リストからほぼ変更はなかった。

一方、パンデミック・大規模流行の恐れがあるAには、重症急性呼吸器感染症を来す病原体として、新たなインフルエンザウイルス、新たなコロナウイルス等を追記。ウイルス性出血熱を来す新たな病原体として、アレナウイルス、ブニヤウイルス等を加えた。
定期的なまたは突発的に国内外で一定レベル以上の流行を起こす既知の感染症が該当するBでは、エンテロウイルス感染症、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱等を追記した。
薬剤耐性(AMR)の発生を抑えるために抗菌薬等の適正使用が必要であるため、使用機会が制限されるなど新規研究開発のインセンティブが乏しい感染症が分類されるCには、アスペルギルスフミガタスを新たに記載した。
重点感染症への該当に関する判断要素も見直し、「健康への影響」について考慮すべき事項として、重症度、致命率、合併症、後遺症、小児・妊婦への影響および次世代に及ぶ影響を追記。「感染・伝播性」では、国内の環境下での広がりやすさ、ヒト・ヒト感染のしやすさ等を考慮すべき事項として加えた。

2025.3.12