エーザイは7月31日、早期アルツハイマー病治療薬「レケンビ」(点滴静注製剤)の4年(48カ月)投与時点の臨床試験結果を発表した。投与を継続することにより、臨床症状の進行を遅らせることが確認された。また、自宅での投与を可能にする開発中の皮下注製剤について患者、ケアパートナー、医療従事者の95%が注射に成功し、注射トレーニングをすることでより成功率が高まるとの調査結果も明らかにした。
同日までカナダで開催されているアルツハイマー病協会国際会議で発表されたもの。
48カ月投与の結果は、同剤の承認申請に用いた第III相試験(ClarityAD試験)の18カ月間の本試験完了後、参加を選択した非盲検長期継続投与試験によるもので、投与を完了した478人の患者のデータについてまとめられた。同試験完了後、プラセボ群は実薬に切り替えているため、軽度認知障害、軽症アルツハイマー病患者らからなるADNIデータをもとにした自然経過を仮想対照群に置いて比較した。
その結果、実薬群では、ADNIデータをもとにした自然経過による低下と比べ、疾患進行を遅らせる期間は、18カ月時点の5.0カ月から48カ月時点では10.7カ月まで延びた。
全般臨床症状評価スコアであるCDR-SB(悪化するほどスコアが大きくなる)のベースラインからの平均変化量の差では、実薬群は、ADNI群より18カ月時点でのマイナス0.5から、48カ月時点はマイナス1.75まで拡大した。
これらはADNI群の進行に比べ、実薬群では維持投与期間中も進行を遅らせる効果があることを示す結果となった。
懸念される副作用であるARIA(アミロイド関連画像異常)については、48カ月投与でも新たな兆候は観察されず、ほとんどは最初の6カ月で発現し、12カ月以降に低下していく傾向が確認された。
維持療法による進行を遅らせる効果が確認されたことで、同社は、患者が通院せず、自宅でも投与できる自動注入器による皮下注製剤の開発を進めており、維持投与適応では今月末までに米国で承認の可否が判断される予定になっている。
2025.08.04