レケンビ薬価15%引下げ‐介護費用含めず価格調整/中央社会保険医療協議会総会

中央社会保険医療協議会総会は6日、費用対効果評価結果に基づき、エーザイのアルツハイマー病(AD)治療薬「レケンビ点滴静注」(一般名:レカネマブ)など4品目の薬価引き下げを了承した。レケンビでは介護費用を含めない「公的医療の立場」からの価格調整を採用し、現行薬価から15%引き下げた3万8910円(200mg2mL1瓶)、9万7277円(500mg5mL1瓶)となる。いずれの品目も11月1日から適用される。

費用対効果評価制度の対象品目であるレケンビをめぐっては既に先月の総会で評価案が示されていたが、介護費用を含めた場合(公的医療・介護の立場)と含めない場合(公的医療の立場)のどちらが妥当か判断するため、薬価算定組織において両立場で価格調整を行った場合の薬価を検討した上で、改めて総会で議論することとしていた。
費用対効果評価専門組織は、介護費用の内容はADの病態の推移や要介護度別介護費用など仮定や推計を重ねたものであるほか、「介護負担の軽減により生じるQALY」の計算方法も学術的に確立されたコンセンサスは現時点では存在しないと判断。

そのため厚生労働省は、介護費用の取り扱いに関しては費用対効果評価専門部会で引き続き検討することとし、「公的医療の立場」による費用対効果評価結果に基づく価格調整を採用する案を示し、了承された。
具体的には、現行薬価から15%引き下げ、200mg2mL1瓶が3万8910円、500mg5mL1瓶が9万7277円となる。
一方、協和キリンの高リン血症治療薬「フォゼベル錠」(テナパノル塩酸塩)については、現行薬価から11%引き下げ、5mg1錠が208.30円、10mg1錠が307.80円、20mg1錠が454.70円、30mg1錠が571.20円となる。
ノバルティスファーマの脂質異常症治療薬「レクビオ皮下注300mgシリンジ」(インクリシランナトリウム)については、現行薬価から11%引き下げ、300mg1.5mL1筒が394.758円となる。
ノボノルディスクファーマの肥満症治療薬「ウゴービ皮下注SD」(セマグルチド)に関しては、現行薬価から8.3%引き下げ、0.25mg0.5mL1キットが1764円、0.5mg0.5mL1キットが3009円、1mg0.5mL1キットが5557円、1.7mg0.75mL1キットが7429円、2.4mg0.75mL1キットが1万0096円となる。
類似品目であるペン製剤についても現行薬価から引き下げ、1mg1.5mL1キットが7.3%引き下げた6049円、2mg1.5mL1キットが7.7%引き下げた1万0590円、4mg3mL1キットが8.0%引き下げた1万9051円、6.8mg3mL1キットが8.1%引き下げた3万0194円、9.6mg3mL1キットが8.1%引き下げた4万0861円となる。

レケンビの費用対効果評価における介護費用の取り扱いについて、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「介護保険の通所サービスを使う場合は費用がかかるが、市町村の地域支援事業の総合事業を活用すると費用は発生しないなど差異がある。具体的な事例を積み重ね、学術的研究と分析の継続が必要」とした。
支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は「医療・介護分野ではDXを推進しているので、そこで得られたデータを研究に活用してほしい」とした。

2025.8.8