【成川氏ら厚労研究班】後発品共同開発で複数薬価‐改定時の取扱い検討必要

近年に薬価収載された後発品のうち、収載品目数が多いものについて共同開発の状況を調べた結果、半数以上の後発品で参入企業の50%以上が共同開発グループに含まれ、同じグループに属する品目でも改定後の薬価が製品ごとに異なっている場合が多い実態が、厚生労働行政推進調査事業費補助金「適切な医薬品開発環境・安定供給および流通環境の維持・向上に関する研究」(研究代表者:北里大学薬学部成川衛教授)の報告で明らかになった。

同研究では、薬価基準に新規収載された後発品における共同開発の実施状況と共同開発品目の薬価改定の状況を調査。また、先発品企業が開発・販売を許諾したオーソライズドジェネリック(AG)の有無やその製造販売企業などの情報を整理すると共に、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のオープンデータを用いてAGと他の後発品の処方数量を調査・比較した。
2017~22年に10品目以上が薬価基準に新規収載された後発品(内用薬)288品目(59社)のうち177品目が共同開発に該当した。総品目数に占める共同開発品目の割合は全体で62%となり、有効成分ごとでは22~100%とバラツキが見られた。

対象とした後発品のうち、半数以上の品目で参入企業の50%以上が共同開発グループに含まれていた。共同開発グループに属する各後発品について薬価収載時から23年4月までの薬価推移を調査した結果、19規格のうち14規格の後発品において、同じ共同開発グループに属する品目であっても改定後の薬価が複数に分かれていた。
研究代表者の成川氏は「後発品の共同開発が積極的に行われる結果として、市場における見かけ上の品目数が増加し、価格競争の激化や流通における負荷につながっていると考えられる」と考察。
今後は後発品の安定供給確保の視点も交え、共同開発の事実が外部から容易に判別できるような表示の工夫や、同じ共同開発グループに属する品目における薬価改定時の取り扱い等について検討する必要性を指摘した。
また、17~23年の間に薬価基準に新規収載された113成分の後発品(延べ718企業)のうち40成分でAGが発売されており、AGが上市された有効成分はそれ以外の有効成分に比べて参入企業数が有意に多かった。

一つの有効成分に15社以上が参入した後発品(10成分)について、21年度NDBオープンデータを用いて処方数量を調査した結果、いずれにおいてもAGが最も大きい処方数量割合を示した。
成川氏は「AGは使用上の安心感が高く、後発品の使用促進に寄与してきた一方で、市場シェアの高さから後発品間の適正な競争を阻害している可能性がある」と述べ、AGの製造販売を許諾した側の企業の製品(先発品)に対する何らかのルール設定を含めた議論が必要と指摘している。
さらに、「品質が確保された後発品を安定供給できる企業が市場で評価され、結果的に優位となるような対策を講じていく必要がある」とし、薬価制度の見直しを含む複数の視点からAGを含む後発品の共同開発に関する取り扱いについて対応を検討していく必要性にも言及している。

一方、グローバルで展開する外資系企業による国際共同臨床試験への日本の参加状況に関する調査も実施した。08~24年に開始された2651の国際共同試験のうち、日本が参加した試験数は1046試験(39.5%)で過去15年の間に数・割合共に着実に増加。第III相試験への参加割合は第II相試験に比べて一貫して高く、規模や参加国・地域が拡大する試験で日本がより組み入れられやすいことがうかがえる結果となった。
中国が国際共同臨床試験に参加した試験数は658試験(24.8%)で、近年は日本との差が縮小し、24年データにおいて両国はほぼ同じ参加割合を示していた。

2025.5.23