【日本総研が提言】認定薬局核に価値最大化‐物価変動対応報酬も要望/日本総研

日本総研は、インフレ環境下での持続可能な薬局経営と在宅医療強化に向け、薬局薬剤師・保険薬局の価値向上に向けた提言を公表した。認定薬局を核とした地域内薬局連携の促進と在宅医療対応計画の最適化による薬局価値の最大化、物価変動に対応した診療報酬改定の実現、在宅業務における調剤報酬のさらなる評価拡大を提言した。

提言では、▽認定薬局の価値と認知向上▽薬局の経営基盤強化▽メリハリをつけた調剤報酬体系と業務効率化推進▽在宅医療体制の充実に向けた機能強化▽在宅医療体制の充実に向けた薬剤師のメンタルヘルス支援強化――を求めた。

認定薬局を核とした地域内薬局連携の促進と在宅医療対応計画の最適化による薬局価値の最大化を提唱した。認定薬局制度を活用し、自治体や地域薬剤師会等が認定薬局に在宅業務を斡旋する仕組みを導入することが「効率的な在宅業務の推進に有効」と推奨した。

在宅業務に対する精神的負荷への対応策として、地域内に地域で中核となる認定薬局が拠点となって相談窓口を設置し、やむを得ない場合には専門性が高い業務に対する助言を受けられることも有効とした。

薬局の経営基盤強化には調剤報酬による収益に限ることなく、健康サポート機能の強化、健康相談事業、介護・福祉事業との連携、オンライン薬局サービスの展開など、新たな保険外の収益源を開拓することが重要と提言した。予防医療・健康増進や在宅医療連携といった分野では、自治体との連携が有用とした。

診療報酬体系については物価変動への対応を求めた。物価上昇率に連動した診療報酬改定率の設定や、インフレ率を考慮した調剤基本料の引き上げを検討し、財源の限界を考慮した上で中長期的には薬局が提供する機能や価値に応じたメリハリをつけた報酬体系を要望した。

一方で、業務効率化の推進も不可欠とし、薬局が必要な取り組みとして、調剤関連業務外部委託などのリソース最適化や調剤ロボット導入など自動化推進を挙げた。

在宅医療体制の充実に向けた機能強化に対しては、在宅業務における調剤報酬のさらなる評価拡大を要望。在宅業務の赤字状況を改善するため、短期的には負担に応じて在宅患者訪問薬剤管理指導料や在宅薬学総合体制加算の評価を見直すことが有用とし、特に業務負荷が高い癌、腎不全、小児疾患などの患者や重度の要介護者に対する評価額を拡充することが求められるとした。

今後増加する在宅訪問件数に対応するため、中長期的視点を踏まえ、在宅療養支援を専門とする薬局を認めることも選択肢に据えた議論を開始すべきとした。

2025.9.12