政府の「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」は28日、薬価制度のあり方などを含めた「投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築」に関する議論を取りまとめ、費用対効果が大きくリターンが見込まれる革新的新薬を別途基金等で支援することなどを提案した。厚生労働省は、2026年度薬価制度改革に向けた検討を行っている中央社会保険医療協議会に報告するが、具体的時期は未定としている。
議論の整理は、▽薬価関係▽成長産業・基幹産業としての政策方針および官民協議会のあり方▽今後の作業部会等で議論を深めていくべき事項――などでまとめた。
薬価関係では、革新的新薬の上市時について、費用対効果が大きく短期に社会的リターンが見込める新薬は別途基金などを活用した財政支援の枠組みを設けること、米国の最恵国待遇(MFN)価格政策の動きを踏まえ、ドラッグラグ・ロスが拡大しないよう他国と比べて魅力度が劣らない市場であることが必要とした。
革新的新薬の特許期間中の薬価に関しては、費用対効果評価制度は客観的な検証を行うと共に、その結果を踏まえた適切な評価手法を確立すべきと指摘。客観的な検証なくさらなる活用や拡大をすべきでないとした。
市場拡大再算定については、有用な効能追加を行った場合の補正加算による引き下げ率緩和、特例拡大再算定の廃止、類似品(共連れルール)の適用除外、希少疾病・小児等の効能追加の対象除外を検討するよう求めた。また、診療報酬改定のない年の薬価改定(中間年改定)は廃止すべきとし、27年度改定の枠組みについて年内に議論して予見可能性を高めるべきとした。
持続可能な後発品産業のあり方として、品質が確保された製品を安定的に市場に供給している企業が評価されて優位となる政策を基本とし、結果的に銘柄数の増加につながる安易な共同開発について抑制する政策を検討することを求め、同一共同開発グループに属する品目の薬価改定を同一にするなどとした。