厚生労働省は1日の電子処方箋等検討ワーキンググループで、院内処方情報の登録について、患者に伝達・閲覧させたくない薬剤情報を「未告知の情報」として患者が閲覧できないよう来年3月メドにシステム改修する方針を示した。マイナポータルでレセプト由来の薬剤情報は閲覧できるため、「混乱が生じる」との意見が構成員から相次いだことから、厚労省で改善策を検討することとした。
現行の電子処方箋管理サービスに登録された処方箋情報は、医療機関・薬局、患者が全て閲覧できる仕様としている。一方、院内処方情報では、重複投薬等チェックや薬剤情報の閲覧など、医療機関等の間では活用したいものの、癌の告知をしていない状態における院内での抗癌剤の投薬情報など、患者に伝達・閲覧させたくない医薬品も含む場合が想定されている。
そのため厚労省は、来年3月メドに、患者に伝達・閲覧させたくない薬剤情報(院内処方薬剤、傷病名)を「未告知の情報」として管理サービスに登録できるよう改修し、院内処方の情報を登録する医療機関で、薬剤ごとに未告知フラグの記録を可能とする方針を示した。
他医療機関・薬局が患者に伝達することを防止するため、薬剤名に未告知フラグ情報を付加するほか、患者による閲覧を防止するため、フラグが設定された情報はマイナポータルと連携しないとした。
長島公之構成員(日本医師会常任理事)は「マイナポータルでレセプト由来の薬剤情報は閲覧可能で、電子処方箋由来のものだけ表示されなくなると不一致が生じて患者が混乱する。丁寧に検討して進めるべき」と指摘した。
川上純一構成員(日本病院薬剤師会副会長)の代理として出席した舟越亮寛氏(亀田総合病院薬剤部部長)も「レセプト由来の薬剤情報だけ閲覧できると、医師のミスで流された情報と受け取られかねない。医師や医療従事者への不信感につながるため、情報開示のあり方は十分に注意が必要」と訴えた。
ベンダーの視点から、新垣淑仁構成員(保健医療福祉情報システム工業会事業企画推進副室長)も「電子カルテ登録時に薬剤ごとに未告知フラグの構築が求められるため、開発規模が大きくなることが想定される。ベンダーは慎重な開発検討が必要となるので、慎重に必要性を議論してほしい」と述べた。
これら構成員の指摘を踏まえ、山口育子主査(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「今のままでは問題が起こる可能性がかなり高い。一度立ち止まって改善策を練ってもらい、報告してほしい」とまとめた。
2025.9.5