【医療部会】病院経営危機に支援要望‐地域薬局の存続訴えも/社会保障審議会医療部会

 社会保障審議会医療部会は19日、経営状況や人材確保など医療機関等を取り巻く状況について議論し、経営状況悪化から補正予算や診療報酬による財政支援を求める声が相次いだ。保険薬局についても、他産業への人材流出を懸念し、薬剤師委員から「地域医療を担う薬局が存続できる対応を強く要望する」との声が上がった。

 近年の病院における経営利益率の推移を見ると、2020~22年度は上昇したものの、コロナ補助金が減少した23年度は大幅に低下。厚生労働省の医療経済実態調査の結果でも、21~22年度にかけて損益率はマイナスとなった。

 保険薬局(法人)の損益構造に関しては、総収益に対して22年度は「医薬品等費」が69.3%を占め、「給与費」が13.2%、「その他経費」が11.1%で続いている。

 荻野構一委員(日本薬剤師会副会長)は、「約3割の保険薬局が赤字経営で、黒字薬局でも1カ月当たりの収益差額が9万円程度に下落するなど、経営状況は厳しさを増している。急激な物価高騰、頻回な薬価改定も薬局の維持、運営に大きな影響を与えており、薬局開設者の個人的な投資で対応している」と現状を説明。「事務職員の新規確保ができないだけでなく、他産業に人材が流出している。特に人口減少が進む地域では、地域に密着した中小薬局は必要不可欠な存在なので、地域医療を担う薬局が存続できる対応を強く要望する」と訴えた。

 岡俊明委員(日本病院会副会長)は「24年度はコロナ補助金や特例措置はなくなり、診療報酬改定では物価上昇が考慮されず実質的にマイナス改定で、経営状況はさらに悪化して危機的状況」とし、「喫緊の対策として、今年度は補正予算による緊急支援、来年度診療報酬改定では物価高騰、人件費上昇、医療の高度化に見合った対応を求める」と要求した。

 一方、米川孝委員(健康保険組合連合会副会長)は「黒字の医療機関もある。限られた資源を必要なところに届けるには、優先順位を付けるべき。機能、規模、病院と診療所の違いなどに踏み込み、緊急度の高さなどメリハリを付ける必要がある」との考えを示した。

2025.9.24