外来特例の見直し不可避‐高額療養費で基本的考え方/社会保障審議会高額療養費制度のあり方に関する専門委員会

 厚生労働省は8日の高額療養費制度のあり方に関する専門委員会で、同制度の見直しに関する基本的考え方を示した。70歳以上を対象に外来で受診する際の自己負担を引き下げる外来特例の限度額見直しや対象年齢引き上げのほか、世帯の所得水準に応じて自己負担限度額を決める「所得区分」を細分化する必要性などを示し、来夏以降に順次施行すべきとした。外来特例の見直しに慎重な議論を求める声なども上がったため、次回会合で基本的考え方を修正した見直し案を示す。

 見直しに関する基本的な考え方として、近年の高額療養費の伸びに一定程度対応した形での自己負担限度額見直しの必要性は理解するとしつつ、長期療養者の経済的負担のあり方に十分配慮すべきとした。また、短期療養者を中心に限度額を見直す場合も低所得者に対する配慮を求めた。現行の所得区分は細分化し、所得区分の変更に応じて限度額が可能な限り急増・急減しないよう制度設計することが適当とした。

 70歳以上を対象とした外来特例については、現役世代の保険料負担軽減の観点からも制度見直しは不可避とした。具体的には、月額上限・年額上限を見直すと共に、制度創設時と比べて健康寿命が延伸し、受療率も低下していることから、医療保険部会での高齢者負担のあり方に関する議論も踏まえ、対象年齢の引き上げも視野に入れて検討すべきとした。

 長期に治療を継続する患者の負担を引き下げる「多数回該当」の限度額は現行水準を維持すべきとし、新たに患者負担に年間上限を設けることも考えられるとした。年間上限の対象者は年に1回以上、現在の限度額に該当した人とすることなどが考えられるとした。

 今後も制度を堅持していく必要があるとしつつ、他の改革項目も含めて医療保険制度改革全体の中で議論していく必要があるとし、具体的な金額(限度額)もその対象とした。見直し後の制度は国民や関係者の準備期間を考慮し、来夏以降に順次施行するとした。

 北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「自己負担限度額見直しが不可避の状況の中、制度のセーフティネット機能への十分な配慮がされており、この方針で進めてほしい」と述べ、他の委員からも同調する声が相次いだ。

 高齢者の外来特例については、将来的な廃止に向けて検討するよう求める声も複数上がったが、袖井孝子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)は「急激な変化は高齢者の生活に多大な影響を与える。対象者を1~2年に1歳引き上げるなど、ゆっくりとしたプロセスを求める」と注文を付けた。

 患者の視点からも、大黒宏司委員(日本難病・疾病団体協議会代表理事)は「高齢患者の外来利用は生活維持の側面も大きく、性急な変更は生活が破綻するリスクがあるので、見直しは段階的かつ丁寧にお願いしたい」と求めた。

2025.12.10