高額療養費制度の維持を‐患者団体が治療不安訴える/社会保障審議会高額療養費制度のあり方に関する専門委員会

社会保障審議会の高額療養費制度のあり方に関する専門委員会が6月30日に開かれ、患者団体からヒアリングを行った。慢性骨髄性白血病(CML)患者・家族の会いずみの会の河田純一副代表は、治療成績が向上し、予後が改善しているCML患者が抱えている重大な問題として「経済的問題」を指摘した。

CMLは2001年に分子標的薬が国内で承認され、10年生存率が9割以上に改善した。河田氏は「治療を続けていく上で困っていることは、医療費などの金銭的な負担が最も多い」と語った上で、「高額療養費制度の見直しは長期療養者の命、生活、人生に直結する。セーフティネットとしての高額療養費制度の役割の重要性を理解し、その維持を強く望む」と訴えた。
日本アレルギー友の会の武川篤之理事長は、「アレルギー性疾患でも生物学的製剤が出て、良くなる患者が増えている。社会への参画や安定した就労につながっている」と語りつつ、「しかし、薬代が高額で家計の負担が大きく、いつまでこの治療を続けられるのか、多大な不安と共存しながら治療している」と吐露した。

一方、ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長は「自己負担引き上げで困る患者さんがいることは重々承知している。ただ、高額療養費制度というセーフティネットを維持・継続するために、医療を個人の視点だけでなく、社会を視野に入れて考える必要があるのではないか」と述べ、自己負担引き上げは避けられないとの考えを示した。
その上で「高額療養費制度が恵まれた制度であることを自覚する必要がある。いつまで財源が持つのか。突然『高額療養費制度を維持できない』とはしごを外されると、治療を受けられない人が続出する」と訴えた。

2025.7.2