岐阜薬科大学は、同大学発ベンチャーを4社設立したと発表した。粉体原料を用いたAIソフトの開発やエネルギー創出技術による環境対策など、同大の教員や元教員が研究成果を社会実装するため数年前から準備を進めてきたが、法人化を機に起業が実現した。同大は、6カ年中期計画の初年度を「変革元年」と捉え、法人化の象徴となる大学発ベンチャーの発展に向けた支援を行っていきたい考えだ。
今回設立された大学発ベンチャーは、自社で開発・製造し、同大のロゴを冠した入浴剤や食品の販売などを手がける「コスメヘルス」、ナノファイバーを用いたDDSや化粧品、食品への応用研究の成果を実用化する「ジェノフィブリクス」、粉体原料を用いたAI粉体物性予測システムを実用化する「パウダーインテリジェンス」、省エネルギー型反応開発研究の成果を実装しグローバルな温暖化対策に生かす「ECEテクノ」の4社。
同大は、ベンチャー設立に当たって、▽同大が所有する知的財産権または同大の役員、教職員もしくは学生等が創出した研究成果をもとに設立したもの▽同大を退職、卒業、修了または退学した者で、退職等から設立までの期間が3年以内の者が創出した研究成果をもとに設立したもの▽その他、同大で得られた研究成果または習得した技術等をもとに設立したもので、学長が認めたもの――のいずれかの条件に該当し、ベンチャー認定審査会で認定された企業に「岐阜薬科大学発ベンチャー」の称号を与えることにした。
既に同大は、4社の事業性について精査を行った結果、「収益化が可能」と判断しているという。今後は、同大として設立された4社のベンチャー企業が発展できるよう環境面の整備や研究における内外連携、知的財産の戦略立案・管理などの支援を行っていきたい考えだ。
原英彰理事長兼学長は、「最初だけの一過性のベンチャー企業とならないよう研究からのシーズ発掘を教員をサポートしながら実施したい」とベンチャー企業の発展に意欲を示した。
その上で、「ベンチャー設立の目標は実装化の実現、収益性の確保であり、最終的には社会貢献である。そのため、スタートしたことよりも最終的な結果が重要」と話している。
2025.7.23