【23年度薬学教育評価】6年制評価で11大学「適合」‐昭薬大の教育課程に問題も/薬学教育評価機構

薬学教育評価機構は、2023年度の6年制薬学教育評価を行った結果をまとめた。昨年度に対象となった近畿大学、昭和薬科大学、摂南大学、崇城大学、千葉大学、東京薬科大学、東京理科大学、東北医科薬科大学、名古屋市立大学、兵庫医科大学、北陸大学の11校の全てで評価基準に適合と認定された。ただ、昭和薬大に対しては、教育課程の編成やカリキュラム全体に重大な問題点が認められると指摘。所定期間内に十分な改善が認められない場合、認定の効力を失うとした。認定期間は31年3月31日まで。

今回、昨年度の評価対象となった11校の薬学教育プログラムについて評価が行われた結果、全ての大学で適合と認定されたが、昭和薬大に対しては第三者評価の重要な項目である「教育課程の編成」に重大な問題があると評価した。
3コース制の卒業研究に相当する科目の履修単位数がコース間で大きく異なっているため、公平・公正な履修ができないほか、学生の意思が反映されない卒業研究コースの選択方法は不適切と指摘。さらに、カリキュラム全体でも必修科目が同一時間に実施されていたり、6年次後期に外部講師による補講が時間割の多くを占め、薬剤師国家試験の合格率向上を主眼とした教育が実施されていることなど「重大な問題点が認められる」とし、所定期間内の改善を求めた。

兵庫医大に対しては、教育内容と成果について、一部の専門科目で「成績評価の公正性、厳格性に懸念がある」とし、十分な検証を行った上で改善を求めた。また、これまで様々な入試改革が行われてきたとしつつ、標準修業年限内での卒業率の向上や低学年次での留年率・退学率の改善は「十分とは言えない」と指摘。引き続き改善を促した。
北陸大に対しては、薬学教育プログラムの自己点検と評価が不十分としたほか、学修成果の評価が学生の自己評価のみで実施されているなどの不備を指摘。薬学部自己点検・評価委員会の役割を明確にしてチェック機能が働くよう改善を求めた。
さらに、第1期評価と再評価で入学定員充足率が低い点が指摘され、定員が段階的に削減されたが「依然として低い状況」と課題を指摘。24年度入学者選抜でさらに定員の大幅削減が行われることから、今後の改善に期待感を示した。

一方、同機構は18年度に評価継続となった第一薬科大学、19年度に評価継続となった国際医療福祉大学の再評価結果もまとめ、評価基準に適合していると認定した。認定期間は第一薬科大学が27年3月31日まで、国際医療福祉大学が28年3月31日まで。
しかし、適合と認定されたものの、第一薬大に対しては、学生の受け入れについて、入試での受験者に対する合格者の比率が高く、1年次・2年次での退学者が多いことやストレート卒業率が低いことなど「大学が6年制学科の入学者に求めているモチベーションや学力が入学者選抜で適確に評価されていない」と指摘。受験者を適切に評価するための選抜方法や基準による改善を求めた。
成績評価・進級・学士課程修了認定についても、実質的に「薬学総合演習」1科目の合否により卒業判定がなされている現状は「本評価時から改善されていない」と改善を促した。

国際医療福祉大に対しては、20年度にカリキュラムが再編されたものの、演習科目で国家試験対策の側面も色濃く残されており、「総合薬学演習I・II」の合否が実質的に国家試験の受験資格となっていることから、「これら科目の合否判定と国家試験の出願を切り離すなど、さらなる改善が求められる」とした。
学生の受け入れについても、ストレート卒業率は約60%であり、「入学者選抜に当たって基礎学力が適確に評価されているとは言い難い」とし、入試方法の一層の改善を促した。

2024.4.12