製造所人手不足で逸脱例‐業務過多改善へ投資促す/医薬品医療機器総合機構

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、製造所での人員不足問題を放置した結果、重大な逸脱が発生したとして「オレンジレター」(GMP指摘事例速報)を発出した。製剤製造所においてヒューマンエラーにより、造粒工程で使用する溶解液を攪拌造粒機内に残っていた直前の造粒済みバッチに誤って噴霧するという逸脱が発生した。GMP調査では、人手不足の状態で過密な生産スケジュールを組んでおり、適時の記録やダブルチェックができない状況にあったことが判明した。

 PMDAは「リソース不足問題を放置し、問題解決に向けた改善サイクルが機能していない場合、重大な品質問題につながるリスクが増大する」と製造業者に対する注意喚起を行った。

 製剤製造所では、GMP調査で手順書の不遵守事例や不適切な記録が複数認められた。人手不足の状態にあり、バッチ切り替え時のラインクリアランスをはじめ、作業のための手順や記録類が十分ではなかった。

 逸脱発生以前に行われた自己点検では、製造現場での立ち会いや作業員へのヒアリングを実施し、手順書不遵守やデータインテグリティの不備、人員不足問題を探知してリスト化していたが、そのリストの取り扱いの手順が定められておらず、改善のための所要措置が講じられていなかった。

 さらに、製造部門の人員不足についてはマネジメントレビューのインプット情報に含まれておらず、適切な資源配分が行われていなかった。

 製造業者は、再発防止のための即時措置として、▽適切な作業手順の制定▽必要な人員が確保されるまで、生産計画を1日2ロットから1日1ロットに見直し▽コンプライアンス教育の実施――を行ったほか、予防措置として、▽管理職教育の強化▽納期に追われない計画的な生産体制の構築▽工程改善・人員配置の最適化▽逸脱・トラブル報告の推進▽品質を最優先する文化への転換――を実施した。

 PMDAは今回の事例を踏まえ、「発生した問題を単なるヒューマンエラーとし、担当者への教育だけで対応を完了する事例が散見される。品質問題の根本解決を怠った結果、複数の法令に連鎖的に違反するケースも認められている」と指摘している。

 また、経営陣に対しては製造所の人員不足による業務過多の問題を直視し、改善に向けた投資を行うよう促している。

2025.12.19