薬剤向上加算成果を検証‐評価表でエビデンス作り/日本病院薬剤師会

日本病院薬剤師会は、基幹病院から地域の病院に薬剤師を出向している場合に算定可能な「薬剤業務向上加算」の算定施設で地域医療を担う指導的な人材の育成強化を図るため、出向研修の評価・検証のための報告書と評価票を作成した。出向者が出向先施設にもたらした成果は、出向者の報告書で評価する一方、出向前後の薬剤師の資質・能力向上は、出向者による自己評価と出向元施設の指導薬剤師や医師、看護師などによる他者評価で多面的に検証する。日病薬で報告書と評価票を定期的にまとめ、人材育成のエビデンスとして次期診療報酬改定などに活用する。

21日に都内で開いた通常総会で報告した。「出向評価表」は、これから出向しようとする薬剤師の水準を推し測り、出向を通して薬剤師の資質・能力がどの程度向上したかを推測することを意図したもの。出向前と出向元施設に帰還後概ね半年までのタイミングで評価を行う。
出向者自身や指導薬剤師、薬剤師を取り巻く医師や看護師を評価者として多面的な評価を行う。具体的には、プロフェッショナリズムに関する評価、マネジメント力に関する評価、資質・能力に関する評価について4段階で評価する。

薬剤師へのフィードバックに有用と考えられるエピソードやレベル判定に強く影響を与えたエピソードがあれば、内容をコメント欄に記載する。
一方、出向者報告書では、出向薬剤師が出向先の病院でどの程度研修効果が得られ、帰還後にどのような業務・取り組みを行い、成果をもたらしたかを評価するツールとなる。具体的な質問項目として「出向元医療機関に戻り、出向の経験がきっかけで新たに開始した・改善した業務や取り組みはあるか」などを聴取する。
出向先から出向元へ帰還後に速やかに記載し、3カ月までをメドに日病薬事務局に提出する。

一方、都道府県病薬を対象とした薬剤業務向上加算に関するアンケート調査結果も公表した。同加算を「既に算定している」「今後予定している」は34都府県に上った。
実際に算定しているのは、▽宮城県:東北大学病院▽福島県:福島県立医科大学病院▽茨城県:筑波大学病院▽千葉県:千葉メディカルセンター、千葉大学病院、亀田総合病院▽神奈川県:昭和医科大学藤が丘病院▽東京都:日本医科大学病院、昭和医科大学病院▽石川県:金沢医科大学病院、金沢大学病院▽静岡県:聖隷浜松病院▽愛知県:藤田医科大学病院▽京都府:京都大学病院▽大阪府:大阪赤十字病院、大阪医科薬科大学病院、大阪大学病院、医学研究所北野病院▽島根県:島根大学病院▽岡山県:倉敷中央病院▽愛媛県:愛媛大学病院▽広島県:広島大学病院▽高知県:近森病院▽山口県:山口大学病院▽福岡県:福岡大学病院、産業医科大学病院▽長崎県:長崎大学病院▽大分県:大分大学病院▽宮崎県:宮崎大学病院▽沖縄県:琉球大学病院――の30施設。
薬剤師の出向制度を進めるに当たり、課題となっている点について「出向元における人員不足」が32府県と最多だった。

2025.6.25