厚生労働省は18日付の通知で、あすか製薬の緊急避妊薬「ノルレボ」(一般名:レボノルゲストレル)のスイッチOTC医薬品としての販売に向け、販売を行う薬局・薬剤師に求める具体的対応を周知した。日本薬剤師研修センターの研修を受けた薬剤師が販売し、近隣の産婦人科医などと連携体制を構築すること、性犯罪被害が疑われる人や性交同意年齢未満の人への適切な対応に加え、避妊の成否を確認するため、服用3週間後をメドに産婦人科受診または妊娠検査を実施することを購入希望者に説明するよう求めた。
同剤は8月29日の薬事審議会で、医薬品医療機器等法に基づき薬剤師の対面販売が必要な「特定要指導医薬品」としての製造販売が了承された。具体的な承認時期は未定であるものの、承認条件として研修を修了した薬剤師による販売を義務づけること、性交同意年齢である16歳未満の人や性犯罪被害が疑われる場合の販売対策を求めており、承認後の薬局における販売を見据え、詳細を今回の通知で示した。
具体的には、緊急避妊薬の販売を行う予定の薬剤師には、日本薬剤師研修センターが実施する「緊急避妊薬の調剤・販売に関するe-ラーニング」の修了を求め、同センターが研修修了者の名簿をまとめて厚労省に提供する。研修を修了した薬剤師が緊急避妊薬の販売を希望する場合、報告用のウェブを介して厚労省に必要な情報と共に申請することとした。
あすか製薬に対しては、▽研修を修了した薬剤師が勤務▽プライバシーへの十分な配慮や緊急避妊薬を服用するための飲料水の確保等に対応できる体制を整備▽近隣の産婦人科医等との連携体制を構築している――の要件を全て満たした薬局であることを確認した上で緊急避妊薬を卸すよう求めている。また、薬局は緊急避妊薬を適正に備蓄し、販売時は研修を修了した薬剤師が対応すると共に、必要な情報を記録・保存することとした。
購入希望者からの聴取内容を踏まえ、性犯罪の被害の恐れがあり社会的支援の観点からワンストップ支援センター等と連携すべきと薬剤師が判断した場合、購入希望者から同意を得た上で関係機関を紹介することが望ましいとした。
同意を得られない場合は、必要な連絡先を記したリーフレットを提供する。性犯罪の証拠保全の必要がある場合は産婦人科に紹介すると共に、警察にも相談するよう求めた。
性交同意年齢未満の人、短期間(3カ月に2回が目安)で繰り返し購入する人には産婦人科や小児科への受診勧奨を行うと共に、18歳未満でも虐待が疑われる場合は児童相談所に通報することとした。購入者が本人であること、年齢確認を可能な限り行うことが望ましいとしつつ、証明書等による確認は必須でないとした。確認できない場合、より丁寧な服薬指導を心がけるよう求めた。
薬剤師は避妊の成否を確認するため、服用3週間後をメドに産婦人科受診または妊娠検査を実施するよう購入希望者に説明すると共に、必要に応じて合わせて妊娠検査薬の購入を促す。
服用後の連携医療機関等からの照会に備え、販売時に使用したチェックシートを購入者から受け取り、販売から2年間は薬局で保存することとした。
2025.9.22