薬事審議会要指導・一般用医薬品部会は8月29日、あすか製薬の緊急避妊薬「ノルレボ」(一般名:レボノルゲストレル)について、医薬品医療機器等法に基づき薬剤師の対面販売が必要な「特定要指導医薬品」として製造販売承認することを了承した。必要な研修を修了した薬剤師による販売を義務づけ、年齢制限は設けない一方、承認条件として16歳未満や性犯罪被害が疑われる人への販売対策等を求めた。厚生労働省は承認まで3~4カ月かかるとし、販売開始も「年度内に間に合うかどうか」と見込む。待ち望まれていた緊急避妊薬のOTC化がようやく実現に至った。
緊急避妊薬のOTC化、特定要指導医薬品として指定される品目は共に初めて。OTC化に際して、性交後できる限り速やかに使用することが求められていること、厚労省の検討会議で悪用の懸念が示されたことから、薬剤師の面前服用が適切と判断し、5月の薬機法改正で規定された購入時に薬剤師による直接対面で確認・指導が必要な特定要指導医薬品に位置づけた。期間を定めない要指導医薬品にも指定する。性交後72時間以内に同剤1錠を薬剤師から受け取り、その場で服用する。
医療用医薬品での国内使用成績調査では13歳の症例も含まれていたが、いずれも安全性上の懸念は確認されず、複数の国で年齢制限がないとして、服用対象者の年齢制限、予期せぬ妊娠を希望しない若年者を支援する観点から親の同意も不要とした。
使用上の注意として、服用から3週間後に妊娠検査薬の使用、または医療機関の受診により妊娠の有無を確認することを添付文書の「その他の注意」に記載。
承認条件として、日本薬剤師研修センターが実施する緊急避妊薬の取り扱いに関する研修を修了した薬剤師によってのみ販売が行われることなどを求めた。詳細な条件は承認時に発出する留意事項通知で示す。販売する薬剤師は研修修了後に厚労省に申告し、厚労省は薬局名、プライバシー確保策、薬剤師の性別など必要な情報をホームページで公表する。
承認条件では性交同意年齢の16歳未満や性犯罪被害が疑われる場合の販売対策も求めた。薬剤師が窓口となって保護が必要な購入者の情報をワンストップ支援センター、児童相談所等の支援機関と共有する。チェックシート等で購入者の適格性や年齢を確認し、16歳未満で繰り返し購入する人については、産婦人科や小児科の受診を伝えると共に、性暴力など保護すべき事例と判断した場合は支援機関、産婦人科、警察等と相談することを求めた。
緊急避妊薬をめぐっては市民団体等からの要望を踏まえ、OTC化に向けた課題と解決策が継続的に議論され、2023年から一部薬局で調査目的で試験販売を実施してきた。その後、あすか製薬がスイッチOTC薬として24年6月に製造販売承認申請を行い、今年5月の厚労省会議でOTC化への課題と解決策をまとめていた。
2025.9.1