エレビジス保険適用議論‐米で5億円の超高額薬/中央社会保険医療協議会総会

中央社会保険医療協議会は14日の総会で、13日に厚生労働省から条件・期限付き承認を受けた中外製薬のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを適応症とする再生医療等製品「エレビジス点滴静注」(一般名:デランジストロゲンモキセパルボベク)の保険適用のあり方について議論した。米国では販売価格が320万ドル(約4億8000万円、1ドル150円換算)の超高額医薬品であり、国内では条件・期限付き承認を受けた2品目が本承認を得られずに薬価削除となった事例が相次いでいることを踏まえ、委員からは「保険適用や価格の算定には慎重で丁寧な議論が必要」との意見が上がった。

この日の総会で厚労省は、まず同製品の保険適用について検討した後、条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品の保険適用の一般的なあり方は次期制度改革の検討で今秋以降に議論する方針を示した。
委員からは、難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーに有効性が推定された同剤の臨床的な意義を認めつつ、保険適用に当たっては慎重な検討が必要との意見が出た。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「医療保険で患者さんに使用している以上、最終的に有効性が確認されずに保険適用から除外されるケースは可能な限り避けるべき」と述べた上で、「過去の事例を踏まえ、有効性など本承認に至る見通しが一定程度高いことを示してもらう必要がある」と訴えた。
また、「米国での価格を踏まえると国内での価格が相当高くなることが見込まれる。相当に高い価格で算定された場合は、その価格の妥当性についてもきちんとした説明が今まで以上に必要」とも語った。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「有効性・安全性が確認されなかった場合は速やかに薬価削除を行う対応が必要」と提案した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「米国での価格が日本円換算で5億円に近く、日本で保険適用されると過去最高額で保険財政にも相当な影響を与えることが予測される。保険適用を検討する場合には有効性が確認されて本承認に至る確度が高いことを証明してもらう必要がある」と語った。

2025.5.16