中外の筋ジス遺伝子薬登場‐13日承認、新再生医療品/厚生労働省

厚生労働省は13日、二つの再生医療等製品を承認した。一つは日本初のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象にする遺伝子治療となる中外製薬の「エレビジス点滴静注」で、条件・期限付き承認となった。1回の投与でDMDの原因となるジストロフィンの欠損を補うよう設計されている。もう一つは、ジャパン・ティッシュエンジニアリングの自家培養軟骨「ジャック」を変形性膝関節症にも使えるよう認めた。

承認品目は次の通り(カッコ内は、一般名、製造販売会社)
▽エレビジス点滴静注(デランジストロゲンモキセパルボベク、中外製薬):効能・効果は「デュシェンヌ型筋ジストロフィー。ただし、抗AAVrh74抗体が陰性、歩行可能な患者、3歳以上8歳未満をいずれも満たす場合に限る」
国際共同第III相試験では、同剤群のプラセボ群に対する優越性は示されなかったが、床上起き上がり時間や10mの歩行/走行時間など副次評価項目等を踏まえ、条件・期限付き承認となった。期限は3年間で、承認条件として、長期有効性・安全性の確認を目的とした臨床試験、全症例を対象とした製造販売後調査により製造販売後承認条件評価が行われる。単回投与で効果の発揮が期待される。
同製品は親会社のロシュの開発品で、米国では2023年6月に承認、欧州では24年5月に承認申請されている。日本では中外が24年8月に承認申請していた。
適応を判断するコンパニオン診断薬は、ロシュ・ダイアグノスティックスの製品が承認されている。

▽ジャック(ヒト〈自己〉軟骨由来組織、ジャパン・ティッシュエンジニアリング):効能・効果に「変形性膝関節症に対する臨床症状の改善。ただし、運動療法等の保存療法により臨床症状が改善せず、かつ軟骨欠損面積が2cm2以上の軟骨欠損部位に適用する場合に限る」を追加。
ヒアルロン酸注射などの薬物療法や筋力トレーニングなどの運動療法といった保存的治療と、それらが奏功しない場合には人工関節置換術や骨切り術などの外科的治療が行われているが、同製品は軟骨欠損部に移植することで正常軟骨と同様の組織で修復される。
同社は12月までの保険適用を目指す。上市後数年をメドに年1000例の使用に向けて取り組む。

2025.5.16