四半期再算定の頻度議論‐年7回再算定求める声も/中央社会保険医療協議会薬価専門部会

 中央社会保険医療協議会薬価専門部会は19日、2026年度薬価制度改革に向け、新薬の収載頻度が年7回に増えたことに伴い、市場拡大再算定の四半期再算定に関する実施頻度の見直しなどについて議論した。診療側は現行の年4回の実施頻度を維持するよう求めたのに対し、支払側委員は年7回の薬価収載に合わせて再算定を実施すべきと主張した。

 この日の部会では、新薬の薬価収載頻度が年7回となったことを受け、四半期再算定の実施頻度を見直すことが議論となった。診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「薬局や卸の事務負担や価格交渉への影響はもちろん、薬局や医療機関の在庫価値減少にも影響する。市場拡大再算定の対象となるのは高額な薬剤で、そのために大きな影響を受けるので現行の頻度が妥当」と反対する考えを表明した。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)も「現場への影響を考慮して現行の扱いを継続すべき」と同調した。

 これに対し、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「この制度が適用される品目はそれほど多くない。効能追加による市場拡大に伴う再算定は年7回の収載に合わせるべき。速やかに薬価見直しをしてもらいたい」と訴えた。

 新規性に乏しい新薬を対象とした類似薬効比較方式IIをめぐり、現行では新薬の算定額がより安く算定されるルールである中、製薬団体は「承認・収載を見込んで臨床試験を実施しているものも存在するため慎重に検討すべき」とルール見直しを要望している。

 委員からは製薬団体が求めるルール見直しに否定的な意見が多く、松本氏は「収載の可否まで踏み込むことは企業にとって影響が大きいと思うが、疑問を持っている」と述べた。

 同加算IIで算定された胃潰瘍等を効能・効果とするプロトンポンプ阻害剤(PPI)「タケキャブ」は売上1200億円の大型品であることを問題視し、「患者数が著しく多いために売上が大きい」と指摘した。

 一方、流通安定のため、薬価改定時に改定前薬価に2%を加える調整幅について、診療側は「調整幅縮小を議論する環境にない」「流通管理コストや物価高騰を踏まえた対応が必要」と主張したのに対し、支払側は「一律2%となるのは疑問。カテゴリー別で調整幅を変えることも判断すべき」とし、意見が割れた。

2025.11.21