中央社会保険医療協議会薬価専門部会は10日、製薬業界から2026年度薬価制度改革の対応の方向性について意見を聴取した。日本製薬団体連合会は、特例拡大再算定と市場拡大再算定の共連れルールの廃止を要望。また、新薬創出等加算については、平均乖離率を超える品目も対象とすべきと訴えた。一方、日本医薬品卸売業連合会は、流通コストにおける物価高騰への対応として、20円未満の低薬価品の引き上げを求めた。
日薬連の安川健司会長は、「インフレ経済下における物価・賃金上昇等を機動的に薬価へ反映する措置が必要」と改めて主張。厚生労働省案についても「長期収載品の薬価引き下げに関する内容が多く、イノベーション推進とのバランスが取れていない」と不満を表明。特例拡大再算定や共連れルールの廃止を強調した。
日本製薬工業協会の宮柱明日香会長は、11月に実施した調査について、薬価制度改革を受けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験相談を実施した製品が31品目、治験着手が20品目と前回調査から増加した結果を報告した。こうした結果を踏まえ、「国内開発・申請予定時期の前倒しや小児、新規成分・適応症などの開発にポジティブな影響を与えている」と述べた。
一方、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、米国での最恵国待遇価格政策による製薬企業の医薬品開発に対するネガティブな影響を懸念し、「薬価制度について機動的な対応をお願いしたい」と要望した。
さらに、安川氏は経営者の立場からも発言。「われわれは営利団体で株式会社であり、格付け会社からは短期で自己資本比率(ROE)5%以上を確保しないと不適切と判断される。現行薬価制度では後発品メーカーはROE5%を達成できず、達成可能な薬価を付けられないのであれば、制度の抜本的見直しが必要」と訴えた。
薬卸連の宮田浩美会長は、薬価を上回る購入価となっている品目のうち57%が「20円未満」である実態を示し、「低価格帯品目の取り扱いにより、薬局の損失が生じかねない構造」と指摘。20円未満の薬価引き上げを要望した。薬価調査速報値で平均乖離率が4.8%となったことについては、「4.8%以内で対応するのは非常に困難だ。不採算品再算定には一定の配慮をお願いしたい」と述べた。
また、厚労省が提案する市場拡大再算定の特例に関する制度名称を「国民負担軽減価格調整(仮称)」とする方向性について、安川氏は「国民皆保険維持に偏った趣旨となるため、断固反対」と主張。奥田好秀委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)も「販売額が拡大するのは、医療現場で医薬品の価値が認められているということでもある。国民負担軽減価格調整という名称のニュアンスとは異なるのではないか」と疑問を呈した。
2025.12.12
