薬事承認実績など評価を‐中核病院の要件見直し/厚生科学審議会臨床研究部会

厚生科学審議会臨床研究部会は22日、医療法に基づく臨床研究中核病院の承認要件見直しについて議論し、薬事承認までつなげた実績など、これまでのような臨床研究の実施件数ではなく、「出口」を評価基準の一つにするよう求める声が相次いだ。制度開始から約10年で中核病院が多様化していることから、各病院の特徴的な活動を評価することが必要との意見も上がった。

中核病院は医師主導治験と臨床研究の実施件数が承認要件の一つとなっているが、この日の部会で厚生労働省は、臨床試験および論文の評価基準、他施設支援、分散型臨床試験(DCT)の評価など、現状の中核病院の取り組みを踏まえた役割と機能のあり方を論点として示した。
近藤充弘委員(日本製薬工業協会医薬品評価委員会運営幹事)は、中核病院の特徴が多様化していると指摘し、「特徴を発揮できる仕組みを作ることが重要だ。最低限の承認要件を設け、それにプラスする形で各病院の特徴的な活動を目標に盛り込み、自ら提案する取り組みや計画を評価する方法もある」と述べた。

また、藤原康弘委員(医薬品医療機器総合機構理事長)は、「創薬への貢献は出口に近い部分で中核病院がしっかりと役割を果たすことが重要だ。基礎研究やシーズ開発より後期の部分に焦点を絞るべき」とした。
一方、この日の部会では小児疾患、難病、希少疾患など臨床研究が進みにくい領域での研究を推進するため、特定領域型の中核病院が位置づけられたものの、承認実績がない現状から、同病院の役割・機能のあり方も論点となった。
藤原氏は「大学病院の教授は10~15年で交代するため、ぶつ切りの研究が続くことを懸念する。それを防ぐため、特定領域の多施設共同治験をオーガナイズし、様々な大学病院が参画するスタイルが良い」と提案した。

2024.10.25