厚生労働省は、医療用後発品、バイオ後続品の承認審査について、先発品と後発品との特許抵触の有無をめぐる確認を医薬品特許の専門家から意見を聴取する制度の試行的な導入を始める。専門委員制度の適用対象となる品目は、一部変更承認を含む承認申請中の後発品のうち厚労省が指定するものとなる。これまでの後発品承認審査でも後発品が先発品の特許抵触に関する確認を行ってきたが、専門家から意見を聴取することで特許抵触の有無の確認を容易にし、医薬品の安定供給を図りたい考えだ。
14日の通知で関係団体に周知した。厚労省は課長通知に基づき、後発品の承認審査に当たって先発品の特許と後発品との関係性にかかる見解を関係当事者の双方から聴取し、医薬品の安定供給を図る観点から先発品と後発品との特許抵触の有無を確認し、承認の可否を判断している。今回、承認可否の判断を行う上で、専門委員制度を試行的に導入することにした。
厚労省が医薬品特許の専門家から意見を聴取することが必要と認める時に、意見聴取が可能になる。専門委員は、▽高度な法的知識を有する大学教員等の学識経験者、医薬品特許に関する豊富な実務経験を有する弁護士・弁理士――などを候補者とする。
承認申請中の後発品を対象品目に指定した場合は、後発品の承認申請者と先発品企業に通知し、後発品企業と先発品企業は通知を受けた30営業日以内に、▽承認申請資料▽医薬品特許情報報告票▽特許抵触の有無に関する自社・特許権者の見解をまとめた資料――などを厚労省に提出する。
その後、厚労省は専門委員候補名簿の中から後発品企業・先発品企業のいずれとも特別の利害関係がないことが確認された専門委員を選定し、特許抵触の有無に関する意見照会を行う。
専門委員は後発品が先発品の特許に抵触するリスクを評価し、厚労省から資料提供を受けた日から30営業日以内をメドに専門委員間で協議の上で意見書を作成し、厚労省に提出する。
意見書は、専門委員が厚労省に対し中立的な立場からの鑑定的な判断を示すものであり、法的拘束力も有さない。厚労省は専門委員から提出された意見書の内容を参考にし、医薬品の安定供給を確保する観点から特許抵触の有無について確認を行い、後発品の承認可否の最終的な判断を行う。