厚生労働省は17日の通知で、後発品や長期収載品の承認申請を行う場合に医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドラインを適用する方針を関係団体に周知した。新規後発品の承認審査で必須とされていた先発品との同等性を確認するヒト生物学的同等性試験(BE試験)の免除が可能なM9ガイドラインを適用し、効率的・合理的な後発品承認申請を後押しする。来年4月以降に承認申請した後発品が対象になる。
ICHガイドラインは、主に新薬を対象に適用されてきたが、海外と同様に後発品等も適用対象とすることで薬事規制の国際調和を促進し、後発品等の審査基準を明確化したい考え。来年4月以降に承認申請される後発品や長期収載品の一部変更が対象となる。
今回、後発品等に適用するM9ガイドラインでは、溶解性や膜透過性を指標に原薬を四つに分類した国際的な科学的アプローチ「BCS」に基づき、一定条件を満たした場合にBE試験を免除する(バイオウェーバー)ことを可能としている。
BCSに基づくバイオウェーバーは、ヒト生物学的同等性試験の実施を減らすことを目的に、代替法を用いて先発品の生物学的同等性を確認する手法。国内では2020年12月に医薬品の新規製造販売承認申請、製造販売承認事項の一部変更承認申請についてM9ガイドラインを適用していたが、新規後発品は標準製剤の処方情報の把握が難しいことから対象外としていた。既に承認されている後発品の一部変更ではBE試験が免除されるケースがあるが、新規後発品の承認申請ではBE試験の省略を認めていなかった。
BCSに基づくバイオウェーバーの対象となるのは即放性経口製剤で、貼付剤や注射剤は除外される。先発品の処方情報や溶解性、膜透過性の正確な情報把握が前提となるため、先発品の各構成成分の配合量の分析、分析法バリデーションは信頼性基準下で行い、その結果を評価資料として承認申請書に添付する必要があるとした。
厚労省は、BE試験を省略して承認申請する場合は医薬品医療機器総合機構(PMDA)への事前面談を推奨している。後発品企業の今後の動向について、「どの程度の品目がBE試験の免除に該当するかは現段階では不透明」としている。後発品にICHガイドラインを適用することで国際調和の推進が図られ、今後後発品メーカーに求められる国際展開を後押しすることにもつながるとした。
また、後発品については品質に関する安定性試験法(Q1)、分析法バリデーション(Q2)、不純物(Q3)、規格および試験方法(Q6)、分析法の開発(Q14)のガイドラインを適用するほか、潜在的発癌リスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価・管理ガイドライン(M7〈R2〉)も適用する。
Q1シリーズを適用する場合は、Q1A(R2)ガイドラインが要求する長期保存試験の実施には試験の実施体制の整備等に一定の期間を要することを考慮し、来年8月末までに承認申請する後発品等で提出する安定性試験は従前の通りとすることで差し支えないとした。
2025.11.19
