高額療養費で基本的考え方‐多数回該当の対象者変更/社会保障審議会専門委員会

 社会保障審議会の高額療養費制度のあり方に関する専門委員会は15日、同制度の見直しに関する基本的考え方を概ね了承した。前回会合で示されたものを踏襲した内容としつつ、長期療養患者の負担を引き下げる「多数回該当」の対象者を変更し、70歳以上を対象に外来受診時の自己負担を引き下げる外来特例の限度額・対象年齢見直しの際に丁寧な対応を求めることなどを新たに盛り込んだ。厚生労働省は、医療保険部会に報告し、医療保険制度全体で見直しを検討する。

 基本的考え方では、引き続き高額薬剤の開発・普及等を背景に医療費全体が増大する中、高額な医療を必要とする状態になった場合の極めて重要なセーフティネット機能である高額療養費制度を、将来にわたり堅持するためには同制度の不断の改革に取り組む必要があると記載。

 長期に治療を継続する患者の負担を引き下げる多数回該当については、限度額を現行水準で維持し、新たに患者負担に年間上限を設けることに変更はなかったが、対象者は年に1回以上現在の限度額に該当した人ではなく、委員の意見を踏まえて「限度額に該当しない人も含めて制度の対象とすることも検討すべき」との記載に改めた。

 現行制度では、加入保険者が変わる際に多数回該当のカウントがリセットされる仕組みとなっているため、「カウントが引き継がれる仕組みの実現に向けて検討を進めるべき」とも追記した。

 70歳以上を対象とする外来特例については制度見直しは不可避とし、月額上限・年額上限を見直すと共に、対象年齢の引き上げも視野に入れて検討すべきとの記載内容は維持した上で、「その際には、限度額の段階的見直しなど丁寧な対応が必要」との文言も追記した。

 住民税非課税区分を除いた各所得区分の細分化については、現行の4区分から各区分をさらに3分割した計12区分に細分化。細分化に当たっては現在の限度額から著しく増加しないよう応能負担の考え方とのバランスを踏まえて設定すべきとした。

 今後も制度を堅持していく必要があるとしつつ、他の改革項目も含めて医療保険制度改革全体の中で議論していく必要があり、具体的な金額もその対象とすること、見直し後の制度は国民や関係者の準備期間を考慮し、来夏以降に順次施行することなどに変更はなかった。

 患者代表の大黒宏司委員(日本難病・疾病団体協議会代表理事)は「外来特例を含め、急激な変化が生じないようお願いする。性急な制度変更は生活破綻のリスクとなるので、見直しは段階的かつ丁寧に求める」と要請。そのほかの患者団体の委員からも慎重な対応を求める意見が相次いだ。

2025.12.17