厚生労働省は8月30日付の事務連絡で、日医工の注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療剤「アトモキセチンカプセル」から発癌性物質のN-ニトロソアトモキセチンが検出されたことを踏まえ、同剤を服用中の患者の自己判断だけで服用を中止しないよう患者に説明することを医療機関と薬局に要請した。
事務連絡では、日医工のアトモキセチンカプセル4製品の原薬からN-ニトロソアトモキセチンが検出されたことを踏まえ、欧州医薬品庁(EMA)の最新ガイダンスに基づき、同社が許容摂取量100ng/日を限度値に設定し、限度値を上回る原薬が使用された出荷済みの製剤ロットを自主回収したことを説明。
設定された限度値は、ICH-M7ガイドラインに沿った対応と評価され、安全対策調査会で、他社が製造販売するアトモキセチン製剤についてもN-ニトロソアトモキセチンの許容摂取量を100ng/日に定めることを了承していた。
また、同剤120mgを70年間毎日服用した場合の理論上の発癌リスクは、およそ13万9000人に1人が曝露により過剰に癌を発症する程度のリスクに相当すること、現在はリスク低減措置が実施され、原薬はN-ニトロソアトモキセチンが管理値以下となるよう管理されていることにも言及。その上で、医療機関等に対して、患者の自己判断のみで同剤の服用を中止しないよう説明することを求めた。
2024.9.6