厚生労働省の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議は9日、「開発の必要性が特に高い医薬品」14品目のうち、重症マラリア治療薬「アルテスネイト」など11品目が医療上の必要性に関する基準に該当すると判断した。厚労省は、11品目の開発要請・公募のタイミングについて検討する。
国内開発未着手の医薬品86品目について、国立がん研究センター中央病院先端医療科の佐藤潤医員を研究代表者とする厚生労働科学特別研究事業が情報整理した結果、「グループA・開発の必要性が特に高い医薬品」として計14品目を分類。その上で、医療上の必要性に関する基準に当たるかを検討会議で評価することとしていた。
佐藤氏はこの日の検討会議で、「実際に全ての品目でドラッグロスを防ぐ必要はなく、本当に解決が必要なものをアカデミアとして発信した」と14品目を分類した理由に言及した。
これら14品目のうち、長鎖脂肪酸酸化障害治療薬のドジョルビ、産後うつ病治療薬(PPD)のズルレッソ、腫瘍造影剤のネットスポットについては、国内で開発着手済み、開発要望書作成が間に合わないといった理由から検討対象から除き、11品目について検討した。その結果、いずれの品目も「適応疾病の重篤性」「医療上の有用性」に該当すると判断した。
具体的な販売名は、▽オクスルモ(効能・効果=原発性高シュウ酸尿症I型)▽ディテクトネット(神経内分泌腫瘍の診断における陽電子放射断層撮影)▽アルテスネイト(成人・小児の重症マラリア)▽アイバキット(成人の切除不能または転移性の消化管間質腫瘍で血小板由来増殖因子受容体αエクソン18に特定の変異を有する症例)▽アクリーフ(顔や体幹の尋常性ざ瘡)▽ガリウム-68ドタトック(陽電子放射断層撮影によるソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍造影)▽ゼンレタ(細菌性の市中肺炎)▽プレトマニド(多剤耐性結核)▽ヌジラ(細菌性肺炎、急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症)▽オメガヴェン(非経口栄養関連胆汁うっ滞)▽アンシム(吸入炭疽)――とした。
国内開発未着手の医薬品86品目について学会等からの要望を待つことなく、国が能動的に医療上の必要性を評価するため必要な情報の整理を行い、検討会議での評価や開発要請の迅速化を図る方針としている。
2025.5.14