日本薬剤師会は、「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」をまとめた。人口減少下で地域において限りある医療資源を有効活用していくためには、医薬品・薬剤師サービスの提供を地域体制の観点から再点検・再構築する必要があると判断。地域の薬剤提供を担う地域薬剤師会・薬局目線での具体的な取り組み事項を、ステップごとにアクションとして定めた上で、「地域薬剤師会の取り組み事項」「薬局の取り組み事項」としてまとめた。
取り組みのステップは六つに分かれており、前半部の▽アクション1:地域における薬局機能の把握(リスト化)・地域での活用▽同2:地域の医薬品情報の把握・共有▽同3:地域の医療体制と薬局機能の分析・課題発掘および対応策の検討――は、地域における薬局の現状・実態を把握するため再点検すべき項目を盛り込んだ。
地域薬剤師会は、各都道府県・地域で作成している薬局の機能・体制リスト(薬局リスト)を整備し、非会員も含む全薬局に薬局リストの趣旨・目的を再周知、参加を呼びかける。実態と合わなくなった情報が掲載され続けることがないよう適切に最新の情報に更新する必要があるとした。
薬局には、地域・都道府県薬剤師会が作成する薬局リスト項目を参考に休日・夜間対応や在宅医療の提供体制など自薬局のリソースを点検するよう求める。
その上で、地域薬剤師会は医薬品情報の把握・共有の取り組みを進め、「地域医薬品集の作成」に取り組む。地域で取り扱う医薬品情報から、可能であれば在庫情報の共有も図り、麻薬、高額医薬品、希少疾病用医薬品、在宅医療といった課題のある医薬品から地域医薬品集を作成する。
次に休日・夜間の外来や在宅医療体制など地域の医薬品提供体制を把握する作業を行う。地域薬剤師会は地域の1次救急、可能であれば2次救急の体制・状況、医療機関や訪問看護ステーション等の医療資源の状況を確認し、各薬局にも自分事として自薬局が所在している地域の医療提供体制を確認するよう求める。
後半部分の▽アクション4:休日・夜間における医薬品提供体制の構築・強化▽同5:在宅医療における医薬品提供体制の強化▽同6:離島・へき地、薬局がない地域への対応――では、対策が必要な地域や在宅、休日・夜間などの場面への対応に向けて各地域薬剤師会や個々の薬局が取るべき行動を記載した。
各地域の薬局機能を分析し、外来、在宅、特別な対応を要する調剤、無薬局地域における医療提供体制など各地域の課題に応じた対応策を検討。休日・夜間の医薬品提供体制では、地域薬剤師会が地域の1次救急体制に応じた体制整備を図り、在宅医療では薬剤師リソースが少ない地域等で協力薬局も活用し、地域に必要な在宅医療の機能を強化すべきとした。
他職種や行政からの相談窓口を地域薬剤師会内に置き、周知も行う必要性も明記した。
地域の在宅医療で休日・夜間、緊急時に使用される麻薬については多職種間で協議すると記載。物流の2024年問題等も考慮し、地域薬剤師会が音頭を取り麻薬の薬局間譲渡のグループの体制を構築することも盛り込んだ。
2025.7.25