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08.06.25

【薬剤師関連ニュース】米NIH・ウェンドラー氏が指摘−“正味リスク”の
最小化が必須 臨床研究倫理国際シンポジウム
(薬事日報 2008年6月25日)

【臨床研究の倫理的な実施へ】


 米国国立衛生研究所(NIH)バイオエシックス部門のデイビッド・ウェンドラー氏は20日、都内で開かれた「臨床研究倫理国際シンポジウム」で講演し、臨床研究を行うリスクとベネフィットを正当に評価するためには、“正味のリスク”を考慮することが必要との考えを示した。その上で、「倫理的な観点でリスクに着目しがちだが、臨床研究の重要性や価値にも目を向ける必要がある」と述べ、リスク・ベネフィットバランスの重要性を強調した。 
 
 臨床研究の実施に当たっては、被験者の「利用化」を避けることが大きな倫理的課題となる。ウェンドラー氏は、「被験者を利用することなく臨床研究を行うためには、リスク・ベネフィットを正当に評価しなくてはいけない」と述べ、特に潜在的なリスク・ベネフィットを考えることの重要性を指摘した。 
 
 臨床研究を倫理的に実施するための最初のステップとして、ウェンドラー氏は社会的価値を挙げた。「臨床研究の価値が明確でなければリスクは分からない」と述べ、臨床研究の社会的価値を認めた上で、リスク・ベネフィットを確定する作業が必要になるとした。 
 
 リスクを評価する作業においては、「臨床研究を行う以上は、採血や画像診断を行うことの十分な理由が必要だ」と指摘。リスクを明確にした上で、最小化を図るべきとした。また、臨床研究に参加するベネフィットについては、「参加しなかった場合のベネフィットを上回らなければいけない」と強調した。 
 
 問題は、これらリスク・ベネフィットをどのように比較して評価するか。ウェンドラー氏は、「その臨床研究が治療的介入を行うかどうかを比較し、臨床的なバランスを考えるのは間違ったアプローチだ」と問題視。「治療的な介入かどうかを区別するのは難しく、もしできたとしても倫理的に意味をなさない」とした。 
 
 その上で、リスク・ベネフィットの評価アプローチとして、被験者が被る“正味のリスク”を分析する「ネット・リスク・テスト」を提案した。これは、臨床研究に伴う採血、画像診断、薬剤投与などのリスク・ベネフィットをそれぞれ分析し、正味のリスクが潜在的なベネフィットを上回るかどうかを見るもの。 
 
 臨床研究を正当化するために、受け入れられる最小限ネットリスクについて、ウェンドラー氏は「日常生活で被るリスクより大きくないこと」と定義しているNIHの「ヒト対象の臨床研究に関する規制」(45CFR46)を挙げ、「臨床研究への参加に伴うそれぞれのリスクが最小限でなければ、全体のリスクとして受け入れられない」との考えを示した。 
 


【エマニュエル氏「被験者の利用防止」−八つの倫理要件で担保】 
 
 一方、NIHバイオエシックス部門のエゼキエル・エマニュエル氏は、臨床研究における倫理的配慮の基本的考え方について講演。ヘルシンキ宣言やベルモントレポートなどのガイドラインは、あらゆる臨床研究において「被験者が利用されないこと」が重要なキーワードだと強調した。 


 そのための担保として、エマニュエル氏は、▽共同パートナーシップ▽社会的価値▽科学的妥当性▽公正な被験者選択▽望ましいリスク・ベネフィットの割合▽独立した審査▽インフォームド・コンセント▽被験者の尊重――の八つの倫理的な要求事項を満たすことが不可欠との考えを示した。 
 


(薬事日報 2008年6月25日)


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