
08.04.11
【薬剤師関連ニュース】堀内会長が講演−バイタルサインチェック、 病棟業務に積極的導入を 日本病院薬剤師会 (薬事日報 2008年4月11日)
【副作用の早期発見に有用】 日本病院薬剤師会の堀内龍也会長は5日、京都市内で会長就任後初めて講演し、日病薬の今後の活動方針を説明した。病院薬剤師が新たに取り組むべき業務の一つとして、病棟で薬剤師が聴診器を手に患者の脈拍や呼吸、血圧、体温などバイタルサインをチェックする活動を提示。それによって副作用の発現を早期に発見し、医療安全に貢献すべきと強調した。このほか、細胞毒性のある抗癌剤の混合調製時や錠剤粉砕時に医療従事者が被曝しないよう、安全な体制整備が必要などと話した。 「新しく求められる薬剤部業務」の一つとして堀内会長は、「病棟に常駐する薬剤師が、バイタルサインチェックによる副作用の早期発見と対処を行うことが重要」と述べ、前任の群馬大学病院では今年1月からその活動を開始したことを紹介した。 「バイタルサインで患者さんの変化を発見することは、誰がやってもいい分野」とし、看護師はバイタルサインを突破口に独自の看護診断の確立を目指していると解説。薬剤師も積極的に取り組むべき領域であることを強調した。 既にいくつかの薬系大学では、等身大のモデル人形を用いて患者のバイタルサインをチェックする実習が行われている。そこで得た知識を生かすためにも、医療現場で業務を確立する必要があるとした。 今後は、バイタルサインを読み取り、評価するための研修を日病薬として実施したいとし、将来は「この実績により、薬剤師がベッドサイドへ聴診器を持って出かけることを当たり前にする。実績を積み上げて診療報酬に反映させたい」と話した。
【抗癌剤の安全な取扱い、研修やマニュアル作成へ】 一方、問題になっている抗癌剤の院内汚染については、「細胞毒性を示す医薬品から医療従事者を守るのは薬剤師の仕事」とし、「安全な取り扱いに関する研修の場や、マニュアルを早急に作ることを検討したい」と説明した。 混合調製時に揮発性の抗癌剤を体内に取り込んでしまうと、将来発癌などの危険性がある。揮発を防ぐ閉鎖式混合調製システムが存在するが、診療報酬で評価されていないため、多くの病院では導入されていない。盲点となっているが、抗癌剤の錠剤粉砕にも危険性がある。その対策として群馬大学病院では今年3月に、安全キャビネットを設置した完全閉鎖系の散剤コーナーを作ったという。 堀内会長は、「安全を担保した環境、器具の整備を行い、安全な手技の確立を全ての病院で実施する必要がある」とし、全病院での体制整備に向けて、施設基準にこれらが盛り込まれるよう行政当局に要請したいと話した。 このほか堀内会長は、カテーテル留置患者で発生する「カテーテル関連血流感染」を抑制するため、輸液ラインの管理や薬剤の管理などを薬剤師が担うことを提案した。 看護師への処方解禁をにおわせた昨年12月の規制改革会議第2次答申を受け、厚生労働省が昨年12月28日に発出した通知に「薬剤の管理については、ミキシングを行った点滴薬剤等のセッティング等を含め、薬剤師の積極的な活用を図り……」との文言が盛り込まれている。これについて「薬剤師が病棟で点滴のセッティングをするのはかまわないと言っている。これはある意味で新しい業務」と述べ、取り組みを進めるよう促した。 一方、病院薬剤師の業務量が増える中、「テクニシャンを雇ったらどうかという意見が、薬剤師側からも出てきているが、薬に関することは薬剤師がやるというスタンスを堅持したい」と堀内会長は強調。新卒薬剤師の増加が予想されるため、「テクニシャンを雇っていたのでは、ますます薬剤師の働く場面が少なくなる」と解説した。 また、高度化、多様化する業務に対応するには「全ての薬剤師のレベルアップが必要」と述べ、薬系大学の協力も得て、生涯教育の充実を図りたいと語った。
(薬事日報 2008年4月11日)
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