
08.03.19
【薬剤師関連ニュース】LS事業部・戸田次長が抱負−富山化学買収の 意義を強調 富士フイルム (薬事日報 2008年3月19日)
【低分子薬に自社技術活用−最優先は新インフル薬の承認】 富士フイルムライフサイエンス事業部次長の戸田雄三氏は本紙のインタビューに対し、富山化学との戦略的提携について、「本格的に医薬品事業の基盤を確立していくには、富山化学の持つ低分子医薬に富士フイルムの技術を早く適用したいという部分があった」と述べた。その上で最優先課題に「インフルエンザ治療薬T‐705の早期承認、供給体制の確立」を挙げ、当面は経営シナジーとして、富山化学のパイプラインの価値最大化に全力を尽くす考えを示した。 富士フイルムは、2006年に創薬ベンチャーのペルセウスプロテオミクスに出資して医薬事業に参入、抗体医薬の開発に乗り出した。また昨年には、米バイオ企業のキャンジェンと共同で、富士フイルムのナノ技術を生かしたDDS抗癌剤の開発に進出した。 これらに続き、2月に富山化学の買収を決断した。戸田氏は「異業種からの参入を考えた場合、富士フイルムが持つ多彩な技術力と、富山化学の研究開発力のシナジーによって、従来にない価値が生み出せるという観点で選択した」と背景を語る。 ただ、富山化学の買収は、放射線医薬品事業の子会社を持ち、抗体医薬とDDS抗癌剤を目指す今までの動きとは異なる流れに映る。戸田氏は「富士フイルムのイメージング技術を最大限に使うためには、抗体医薬は一つの分野」としながらも、「本格的に医薬事業の基盤を確立していくには、将来の抗体医薬だけではなく、低分子医薬も手がけ、われわれの持つ技術を早く使いたいという部分もある」と話す。 また、今回の戦略的提携には経営・技術の両シナジーがあると指摘。「これら両方の地図を一つひとつ埋めることが大切だ」と強調した。具体的には、富士フイルムのリソースを生かしながら、富山化学が持つパイプラインの価値最大化を目指す一方、フイルム開発で培った乳化分散技術によるナノ粒子化など、独自のFTD(フォーミュレーション・ターゲッティング・デリバリー)技術を応用し、化合物の付加価値を向上させる。 さらに、フイルムの感光材料で培ってきた技術として、約20万種類の化合物ライブラリーを保有している。これらをスクリーニングし、ナノ技術と融合させることにより、新しい付加価値を持つ医薬品を将来的に自社開発する方向性も視野に入れているという。 その上で現在の最優先課題として、鳥インフルエンザ治療薬「T‐705」の早期承認、供給体制の確立を挙げた。戸田氏は「できれば来年には申請したい」との考えを明らかにし、「社会的な要請に応えるためにも、富士フイルムの傘下に入ったことのメリットを示していきたい」と意気込みを示す。 製薬産業が大きな変革期を迎える中、富士フイルムは敢えて異業種から参入する決断をした。戸田氏は、「われわれはイノベーションドリブンな医薬品の世界に夢を持ち、事業の具体化を決めた。そこに新しい価値を提案していきたい」と話している。
(薬事日報 2008年3月19日)
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