
08.02.13
【薬剤師関連ニュース】ヒトES細胞、視細胞へ効率よく分化 理化学研究所、京都大学 (薬事日報 2008年2月13日)
理化学研究所は4日、京都大学と共同で、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から、光を感知する神経細胞の視細胞へ分化誘導する方法を開発したと発表した。この方法を用いると、20〜30%という高効率で分化するという。理研発生・再生科学総合研究センター網膜再生医療研究チームの高橋政代チームリーダー、小坂田文隆研究員、池田華子客員技師らと細胞分化・器官発生研究グループの笹井芳樹グループディレクターらの研究グループによる成果。 視細胞や網膜色素上皮細胞の変性は、多くの網膜疾患や失明の原因となっている。これらに対する治療の可能性として、変性網膜に視細胞を移植する網膜再生が注目されているが、入手困難な胎児網膜を使うため、胎児網膜に代わる移植細胞源が求められていた。 そこで同研究グループは、試験管内で培養し大量に増やすことができるES細胞から、視細胞や網膜色素上皮細胞を分化誘導し、移植細胞源とする方法の確立を試みた。 同研究グループはこれまでに、マウスES細胞から網膜前駆細胞へ分化する方法を開発していたが、既知の成分だけでは試験管内で視細胞を得ることができないという問題を、根本的に解決することができなかった。特に、ヒトへの応用を考えた場合、感染や拒絶反応などの原因の可能性がある血清や組織を用いない分化誘導方法の開発が求められていた。 小坂田研究員らは、胎児網膜中に含まれる分化誘導因子に着目し、視細胞を誘導する因子を探索した結果、ヒトES細胞から既知組成の培養条件で杆体視細胞や錐体視細胞からなる視細胞を大量に得る手法を確立し、同時に、ヒトES細胞から網膜色素上皮細胞を分化誘導することにも成功した。 この研究成果により、ヒトES細胞から分化させた網膜細胞を、胎児網膜に代わる移植細胞源として活用することが可能となり、これまでの網膜移植の根本的な問題を解決することができると期待される。 同研究グループは今後、ヒトへの応用を目指すために、「これらの分化細胞を用いて網膜変性疾患のモデル動物に移植を行い視機能を評価し、有効性や安全性などを詳細に調べる必要がある」としている。 なお同研究は、文部科学省のリーディングプロジェクト「再生医療の実現化プロジェクト」の一環として行われたもの。
(薬事日報 2008年2月13日)
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