
08.01.16
【薬剤師関連ニュース】iPS細胞、今年度内に「コンソーシアム」設置 総合科学技術会議 (薬事日報 2008年1月16日)
京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて開発に成功した人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究の環境整備を進める、総合科学技術会議の作業部会(座長:本庶佑京大客員教授)と、文部科学省のライフサイエンス委員会幹細胞・再生医学戦略作業部会の初会合が、それぞれ10日に開かれ、今後の推進策などが話し合われた。文科省が立ち上げを予定している共同研究体「コンソーシアム」のあり方などが話題となった。
【関係省庁連携し支援】 昨年11月、山中教授らがヒトのiPS細胞の樹立に成功したことを受け、国際的な研究開発競争を制するため、文科省では昨年12月、研究推進のための総合戦略をまとめた。これに基づき、今後5年で約100億円を投入し、山中教授らをはじめとする関連研究への支援や、研究機関のネットワークづくりを進めることにしている。 総合科学技術会議作業部会では文科省をはじめ、厚生労働省、経済産業省がそれぞれの支援策を報告。文科省は2008年度予算で、iPS細胞研究には、約22億円の助成を既に決めているが、14億円の予算が投じられる「世界トップレベル研究拠点プログラム」の中でもマンパワーを含めた環境整備を支援する。 厚労省は08年度、再生医療を推進する拠点の整備などで計10億円以上の研究費を助成。iPS細胞を臨床応用する際に必要な安全基準づくりも検討する。経産省は、iPS細胞を利用した産業の創出を目指し、iPS細胞を応用した新薬開発を支援するほか、iPS細胞の作製効率を高める技術も支援する。 また作業部会では、文科省が今年度内に立ち上げる研究者による共同研究体「コンソーシアム」や、知的財産に関する体制整備などについて議論。コンソーシアムの立ち上げは、「早急に行うべき」との観点から、全ての研究者が参加できるようなオールジャパンの体制ではなく、「山中教授が参加を希望する最低限の研究者で、すぐにでも共同研究ができるようにすべき」との意見が出された。また、立ち上げに当たっては、総合科学技術会議で最終的にオーソライズすべきであるとの意見もあった。 知的財産確保に向けた体制整備については、京大から「学内の費用だけでは対応が難しい」現状が示され、国からの財政支援を求める発言があった。 作業部会は、6月をメドに検討結果の中間とりまとめを行い、その後も研究の進捗状況に応じて随時、会合を開催する予定。
【知財の人材確保が課題−ライフサイエンス委部会】 一方、ライフサイエンス委員会部会では、iPS細胞を用いた治療技術の開発などの関連研究分野に対する、今後の予算投入計画などの推進策が示された。 今年度の文科省予算案では、iPS細胞の樹立法や培養法の改善などの基礎的な研究に約10億円のほか、分化誘導技術開発・分化誘導された細胞を用いた治療技術の開発(有効性、安全性の確認も含む)などの応用分野に約10億円を充当する。 さらに、総合戦略に基づき、京大に研究の中核拠点となるiPS細胞研究センターがこのほど設置されたことも報告された。 部会に出席した山中教授は、予算や人材が潤沢な米国の例を挙げ、国としての研究支援の必要性を強調。中でも、特許戦略を担当する知的財産の専門家が不足しているとして人材確保のための資金的支援を求めた。
(薬事日報 2008年1月16日)
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