
07.12.17
【薬剤師関連ニュース】薬価制度改革の骨子を了承−新薬の評価をより充実、 市場拡大再算定に激変緩和措置 中央社会保険医療協議会 (薬事日報 2007年12月17日)
中央社会保険医療協議会は14日に開いた総会で、薬価制度改革、保険医療材料制度改革、後発品使用促進のための環境整備の来年度の方針を示した骨子を了承した。薬価制度改革で業界に大きく影響するのは、より効果の優れた新薬を評価するため、算定薬価に上乗せする補正加算の加算率引き上げと、当初の予想より売り上げが大幅に伸びた医薬品の薬価を引き下げる市場拡大再算定の対象範囲の拡大。再算定見直しは、厳しいという業界側の意見も踏まえて当初案が修正され、来年度限りで激変緩和ルールが導入されることになった。後発品が初めて収載された先発品(長期収載品)の特例引き下げも実施、通常改定率に「4〜6%」の追加引き下げを行うことが盛り込まれた。 --------------------------------------------------------------------------------------
【残された課題は「例示」−来年度以降の検討を明記】 薬価制度改革は、薬価算定ルールを見直し、政府方針通り新薬の革新性をより評価すると共に、薬剤費の適正化を図っていく。来年度予算で社会保障関連予算の2200億円削減方針と絡み、薬価制度改革や後発品使用促進で、どの程度の捻出となるかが焦点の一つ。薬価調査に基づく通常改定が4・5%の引き下げ(薬価ベース)、医療費ベースで1%程度に当たる。今回示された再算定見直しや長期収載品の特例引き下げなどを加えた影響率(額)について厚生労働省保険局医療課は、「集計中」として明かしていない。 今回の「市場拡大再算定」の見直し案は第1弾で、次々回の薬価制度改革に向け、算定要件を大幅に見直すことも提案した。 現行では、市場拡大再算定の要件に該当した製品を「比較薬」として薬価算定した製品についても再算定の対象となる。しかし、比較薬でなければ、再算定には該当せず、同省は「市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行う観点から」見直しが必要と判断。 まずは「比較薬」であったかどうかにかかわらず、再算定対象薬の薬理作用類似薬全てを対象に含めることを、今回の制度改革として実施することになった。薬理作用類似薬かどうかの判断は、「類似薬選定のための薬剤分類」に従うことになるとみられる。 また、市販後の臨床試験などで、より確かな有用性が検証された場合などは、引き下げ幅を緩和する「補正加算」の仕組みに対して、傾斜配分を1日薬価ではなく、市場規模で行うことも実施することになった。これは1日薬価が低くても、市場規模が大きい薬剤を考慮したもので、補正加算による再算定の歯止めが大幅に小さくなるケースも出てくる。
これらは11月の当初案で示されたものだが、市場拡大再算定ルールそのものの廃止を求める業界側は改悪だと猛反発した。 それを受け今回の骨子には、来年度限りとして激変緩和ルールの導入を盛り込んだ。具体的には、[1]再算定による引下率と市場実勢価から計算される改定率の平均値を引き下げ幅とする[2]同再算定で補正加算が付く薬剤については、傾斜配分した引下率――のいずれか小さい方を用いる。 また、第2弾で取り組むべき残された市場拡大再算定の課題については、業界の反発を踏まえ「例示」扱いにとどめ、「次々期薬価制度改革までに検討」と明記した。 例示されたのは、再算定の対象にする際の判断基準の一つとなっている「効能追加」の有無の取り扱いのほか、販売後10年以内の薬剤だけでなく、販売後10年を超えた薬剤も「毎年一定割合以上販売額が増加する場合」も対象に含め、対象を広げるというもの。 そのほか、今回の制度改革では、最低薬価の引き下げも提案した。
【「小児加算」は引上げ】 一方、新規収載品算定ルール見直しの目玉は、類似薬効比較方式での補正加算の引き上げ。提案によると、最も優れた新薬を評価する「画期性加算」の加算率を「70〜120%」と現行より20%引き上げる。それに次ぐ評価となる「有用性加算I」は「35〜60%」(現行25〜40%)、最も算定が多い「同II」は「5〜30%」(5〜20%)。IIの加算要件に「臨床上有用な新規の作用機序を有すること」が加わる。 小児用法・用量を持つ薬剤を評価する「小児加算」は「5〜20%」(3〜10%)で、加算要件は緩和する。希少疾病用医薬品など市場が小さい医薬品を評価する「市場性加算I」は「10〜20%」(10%)、「同II」は「5%」(3%)。キット加算は「5%」(3%)とするが、「キットの構造や機能に新規性が認められるものに限る」と要件を厳格化する。 原価計算方式では、薬価算定で織り込んでいた営業利益率19・2%を、対象新薬の革新性や有効性、安全性に応じて±50%の範囲に見直す。 そのほか、来年度以降の課題として、新しい薬価制度、薬価改定の頻度、後発品の収載頻度などが盛り込まれた。 総会では、小島茂委員(連合生活福祉局長)が、長期収載品の特例引き下げについて「薬価算定の基本である市場実勢価主義に関わること」とし、今後も検討が必要と表明。長野明専門委員(第一三共常務執行役員)は、「(業界としては)市場拡大再算定、特例引き下げの廃止を求める意見である。医療保険財政が厳しい中ではあるが、一定の理解が示されたものと感じている。しかし、市場拡大再算定、特例引き下げで個別企業は、経営上甚大な影響を受けることを心配している」と述べ、4月以降も業界側の意見を十分踏まえるよう求めた。
【後発品環境整備も了承】 後発品使用促進の骨子は、5日の診療報酬問題基本小委員会で了承されたものが、総会に提出・了承された。処方せん様式を見直し、「後発品への変更不可」の場合のみ医師が署名などを行うという現行と正反対とし、原則として後発品処方とすることが柱。
また、療養担当規則を改正し、後発品処方の場合には薬剤師に対し、患者に後発品に関する情報提供を義務化、保険薬局にも後発品の備蓄などの後発品調剤に必要な体制を敷くことが努力義務として課される。医師には、後発品使用促進の努力義務を求める。
(薬事日報 2007年12月17日)
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