
07.10.22
【薬剤師関連ニュース】医療機関への訪問頻度、国内外で差 −訪問回数減らし、モニター業務の効率化を 日本CRO協会シンポジウム (薬事日報 2007年10月22日)
《シンポジウムで強調》 医療機関へのモニターの訪問頻度が海外に比べて高く、これが国内の治験の非効率化を招く一因になっている――。日本CRO協会が16日に大阪市内で開いたシンポジウム「治験(臨床試験)の生産性向上のために」では各演者から、日本のモニター業務の現状や課題が示された。各種資料の作成など、本来は医療機関側が行った方が効率的な業務をモニターが代わりに行うことが多いという。それが訪問回数の増加につながっているため、医療機関との役割分担を徹底し、モニタリング業務に専念できる環境の構築が必要であることが強調された。 -------------------------------------------------------------------------------------
講演した中島唯善氏(日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会副部会長、武田薬品医薬開発本部)は日本と欧米のモニターについて、ある製薬会社が調べた結果を提示した。 日本ではモニター1人当たり40人の被験者を担当しているのに比べ、米国では180人、欧州では96人を担当。担当施設も日本ではモニター1人当たり6施設だが、米国では22・5施設、欧州では16施設を担当している。仮に1800例の治験を実施したとすると、米国ではモニターは10人で済むのに、日本では45人も要するという。
中島氏は「日本のモニターのパフォーマンスは低いが、日本のモニターの能力が低いのかというと決してそうではない」と強調。製薬協と日本CRO協会が実施した調査によると、治験依頼から治験薬設置までに、日本のモニター(製薬会社在籍)は平均8・9回医療機関を訪問し、私立病院では平均14・5回に達しているとした上で、「欧米では1施設に2回程度訪問するだけ。モニターの業務量に差が出てしまっている」と解説した。 モニターの訪問理由として中島氏は「書類の提出・受領、書類の疑義対応、履歴書入手などが多い」とし、その背景には、本来は医療機関が作成した方が効率的な資料を、モニターが代わりに作成している現状があることを紹介した。 その上で中島氏は、組み入れ可能患者の調査、院内様式による提出資料の作成などは、医療機関に担当してもらう必要があるとし、「サービス的に実施していた医療機関業務の支援がなくなると、モニタリングに専念でき、今以上の施設や症例を担当できる」と話した。
【SDV業務の効率化も課題】 CROの立場から講演した下河辺純一氏(日本CRO協会理事、クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパンシニアディレクター)は、モニターが担当する業務のうち、症例報告書と原資料の照合(SDV)業務の効率化について解説した。 SDV業務では、既往歴・合併症・手術歴、併用薬・併用療法、有害事象、被験者背景などの確認に多くの時間が費やされている。 下河辺氏は「全ての既往歴、全ての併用薬など、全てのデータの確認を求められることが多い。これにどれだけ妥当性があるのか」と指摘し、プロトコールの立案や手順書作成段階で、モニター部門の意見を十分に聞き、全ての確認が必要でないものは盛り込まないよう製薬会社に求めた。 一方、SMOの立場から講演した谷口隆雄氏(日本SMO協会副会長、セーマ代表取締役)は、製薬協と日本CRO協会の調査結果から「SMOが介在するとモニターの訪問回数が少なくて済むことが分かった」と述べ、SMOの有用性を強調した。SMOが医療機関と共同で各資料を作成し、メールや郵送で送付する体制を構築することで、国内でもモニターの訪問回数を最小で4回程度に抑制できるとした。
【サンプリングSDVの導入−医療機関の質確保が前提】 シンポジウムではサンプリングSDVも話題になった。日本のSDVでは全症例の全データを確認しているが、欧米では症例を抜き出してSDVが行われることが少なくない。 中島氏は「サンプリングSDVは一定のエラーを許容するのが前提。承認審査側がどこまでそれを受け入れるのか、分からないままでは進めにくい」と話し、直ちに導入できる環境ではないとした。 会場からも「欧米のサンプリングSDVは監査の感覚。医療機関での品質管理が十分で調査票も出来上がっており、それを確認するもの。日本でやっているのは品質管理の一環。これが変わらない限り、導入するのは危険」「ドイツやフランスで聞くと、また全例確認に戻っている。東ヨーロッパでの試験が増え医療機関への安心感が落ちてきたためだ。医療機関の質を担保できるようになって初めて、いろいろな施策を行える」などの意見が聞かれた。
(薬事日報 2007年10月22日)
|